こんにちは。
デザイナーの武石です。
今回の【デザイナー’s Blog】は、「両A面リバーシブルボアブルゾンのおはなし」です。
両A面。
それだけでもう、ワクワク感倍増。
甘美な響きであります。
「リバーシブルって言うけれど、まぁ確かにリバーシブルなのだけど、結局こっち側しか着ないのよね。」
というオーディエンスには是非手を挙げて頂きましょう。
聞いておいてあれですけど、実は世の中のリバーシブルのお洋服というのは往々にしてそういうものです。
作る側としては、「せっかくリバーシブルにするのに似たような色柄では面白みが無いじゃないか」というサービス精神発信のデザインに至るのは、当然理解が出来ます。
しかしながら、私は「せっかくリバーシブルなのに、結局どちらか一方しか登場しないなんて悲しいわ」と思う方です。
ごく稀に、あのシングルはさ、実はカップリングが秀逸なんだよね〜というのがありますが、
本当にレアケースですね。なんでかなぁ。A面を引き立たせるためなのかなぁ。ネタの出し惜しみなのかなぁ。
音楽関係者の方、こっそり教えて下さい。
KICS DOCUMENT. はそんな器用なことは出来ませんので、惜しむことなくリリースします。
それでは満を辞してワンシーズンぶりのリリース。
KICS DOCUMENT. のリバーシブルボアブルゾンをご覧下さい。
どうぞ。
BLOUSON : CRAFTED NY/BOA REVERSIBLE BLOUSON ¥48,000 +tax (BLACK NAVY)
どうです。
どちらも良い顔していますでしょう。
今季は3色展開だったのですが、当店の在庫は既にこの2色となりました。
今年の新色かつイチオシはネイビーです。
ネイビーというカラー柄、他のお色よりもどこか上品で、ウールのスラックスやスカートなどとも好印象なのが魅力です。
またカーゴやコーデュロイ、スウェットなどと合わせても大人の雰囲気に仕上がりますので、様々なシーンで楽しんで頂けると思います。
こちらボア面。
BLOUSON : CRAFTED NY/BOA REVERSIBLE BLOUSON ¥48,000 +tax (NAVY)
密度の高い、高級感のあるボアが特徴です。
ボアにも色々とありまして、その密度によって暖かさに格段の差が表れます。
「ボアなんて、どれも同じ」ではないのです!
この企画を始める時、ボア素材を扱う5社から大体20種ほどの様々なボアを集め、選抜に選抜を重ねた結果見事トップに輝いたのがこの子でした。
先ほど、密度が高いとお伝えしましたが、密度が高い=重いというのがセオリーです。
ここ数シーズン、私が服作りの時に重点を置いてきたことがあります。
それは「軽い」こと。
着ている洋服が重いと疲れます。
着ていて疲れるものは、私自身好きではありません。
しかしながら、メンズの服に於いては「重量感がかっこいい」というものが多々あります。
私自身、古着屋さんなんかに行って、すぐに手に取ってしまうのはキロメルトンのコートやヘビーウールの将校ジャケットだったりします。ずしーーん。
綿のアーミージャケットなんかでも、パンパンに打ち込んだブロークンツイルなど、重りを装着して歩いているかのような感覚に陥るものばかり。(買ったんですけどね)
それは生地の「密度」と密接に関係しているものだと私は考えています。
技術の進歩というのは本当に目覚ましいもので、生地も最近は密度を込めても軽いというのが次々と開発されています。
ポリエステルやナイロンは糸そのものの質が格段に上がっており、今は軽さや風合いに於いても天然素材を上回るものが多々あります。
今回使用しているのはポリエステル素材のボアです。
サンプル作製の直前、実はウールのボアも取り寄せました。
両方手に取って、比較してみたかったので。
で、すぐに決まりました。
確かに天然繊維の魅力って大きいのですが、今回のポリエステルボアに関しては、風合い・保温性・軽量性・発色性・製品化後の取り扱いの簡易性など、比較検討した結果こちらに軍配が上がりました。
あとはですね、生地の段階では良かったのに、製品にしてみると「あれ、何かちょっと違う…」というのは服作りに於いてのあるあるなのですが、この子は製品になった時のお顔も素晴らしかった。
厳しい戦いを勝ち抜いただけあって、私自身も満足の出来となりました。
そしてこちらナイロン面。
BLOUSON : CRAFTED NY/BOA REVERSIBLE BLOUSON ¥48,000 +tax (NAVY)
特殊な染色とワッシャー加工を施したナイロンタフタ。
その辺のナイロン生地とは違います。
何が違うって、染め方とそれにかかる手間です。
生地、ズームアップ!!
この細かな亀裂の様に見えるものは“カミナリジワ”といいますが、これがこの生地の独特な味と雰囲気を出しています。これを表現する為に、職人さんが一反一反染まり具合を観察しながらじっくりと染色し、乾燥、最終セット(加工)まで行います。
実はこれ、染色よりも乾燥と最終セットの方法がキモだそう。
この最終セットのお陰で良い感じにコシが抜け、着用時に気になるハードなシャカシャカ感がほぼ無くなり、非常に肌馴染み良くソフトな風合いに仕上がっております。
大変時間と手間のかかる作業ですので、非常に少量のロットで生産され、一反一反同じものは無いのですよ。こういうの大好きです私。
こんなに手間がかかっているのに主張し過ぎない、出過ぎた真似をしない、なんとも奥ゆかしいヤツ。
ですが、自信はたっぷり、傍のボアと手を取り合って、堂々と君臨しています。
この佇まいが美しいですね。
だから、イチオシなんです。
両A面なんです。
うん、素材に関しては今日もここまで伝えられて満足。
次にディティールの説明をさせて下さい。
画像で伝わりますでしょうか。
ファスナー、輝いております。
これはエバーブライトと言って、通常のファスナーと一味違います。
金属部分の表面を磨いて輝きを出したもので、こういう光を吸収して沈みがちな生地の一部分に使用すると、嫌味無くポイントとして際立ちます。
そしてこちらのグログランテープによるパイピング。
何気ない処理に見えますが、このカーブをこんなにきっちり美しくパイピングするのは至難の業です。
生地が厚いと余計に、テープで挟みきれずステッチが落ちてパンクしてしまうことがありますが、KICS DOCUMENT. の製品は熟練の職人の手によって大変繊細にしっかりと仕上がっています。
では最後に、着用時の雰囲気やコーディネートの例をお見せしたいと思います。
LOOKBOOKではこんな感じに着せました。
冒頭でお伝えした通り、このようにシャツとツイードのパンツなど、きれい目なアイテムと大変相性が宜しいです。
BLOUSON : CRAFTED NY/BOA REVERSIBLE BLOUSON ¥48,000 +tax (NAVY) SHIRT : C/TEN BAND COLLAR SHIRT ¥24,000 +tax (WHITE) PANTS : TWEED GREN CHECK DOUBLE TUCK PANTS ¥31,000 +tax (NAVY)
サイズ感は大き過ぎず小さ過ぎず。
冬の重ね着に丁度良いサイジングです。
合わせるボトムはこのようにボリュームのあるものでも細身のものでも、どちらでもバランスが取りやすいシルエットを目指して設計しました。
BLOUSON : CRAFTED NY/BOA REVERSIBLE BLOUSON ¥48,000 +tax (BLACK) CUT&SEW : ZIP RUGBY P/O ¥18,000 +tax (WHITE) PANTS : ADJUSTER TUCK PANTS ¥31,000 +tax (GRN)
BLOUSON : CRAFTED NY/BOA REVERSIBLE BLOUSON ¥48,000 +tax (BLACK) CUT&SEW : ZIP RUGBY P/O ¥18,000 +tax (WHITE) PANTS : ADJUSTER TUCK PANTS ¥31,000 +tax (GRN)
女性でしたらヒールとの合わせも是非楽しんでいただきたい。
こちらはブラックですね。
BLOUSON : CRAFTED NY/BOA REVERSIBLE BLOUSON ¥48,000 +tax (BLACK) SHIRT : VINTAGE CORD SHAWL COLLAR SHIRT ¥24,000 +tax (BLACK) PANTS : VINTAGE CORD STRAIGHT PANTS ¥26,000 +tax (BLACK)
ナイロン面を表にすると、コーデュロイなど起毛素材とのバランスが取り易いのです。
BLOUSON : CRAFTED NY/BOA REVERSIBLE BLOUSON ¥48,000 +tax (NAVY) CUT&SEW : GIZA CTTN PLATING SILKET P/O ¥13,000 +tax (
BEIGE)
PANTS : VINTAGE CORD STRAIGHT PANTS ¥26,000 +tax(BEIGE)
いかがでしたでしょうか。
最近の冬は出だしがのんびりなので、12月いっぱいまでコートいらないな、という方もたくさんいらっしゃると思います。
そんな方には特におすすめしたい。抜群に重宝しますよ。
あと特筆すべきは、あなどれない春先。
なんかまだすごく寒いのに冬物のコート着るのはもう恥ずかしいしな・・という場面に。
待ってました、出番です。
ナイロン面が表なら、春アウターの顔して中身あったか〜い。
完璧です。
両A面リバーシブルボアブルゾン、あなた様もお一ついかがでしょうか。
デザイナー 武石